続・次世代PCは「テーブル・タブレット」かも

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次世代PCは「テーブル・タブレット」かも」の続編。

BLOGOSに転載された記事につけられたコメントについてのレスポンスをいくつか。

テーブル・タブレットとしてテーブル代わりにすると、テーブルに物を置くから使えない……わけではない

現状のテーブルではそうだと思う。
それはテーブルの目的が、食卓であったりなにがしかの手仕事をするためという固定観念があるから。
モノの使い道や機能が変われば、使い方も変わるもの。

iPhoneが登場したときのことを思い出して欲しい。

アメリカでiPhoneが発売され、日本ではまだ未発売だった頃。日本ではガラケー全盛時代だった。当時からケータイでメールはできていたが、ケータイは数字キーを押す物理キーだった。その物理キーを、タタタタタと早打ちして文章を打ち込んでいた。早い人は、驚くほど早かった。その早さを競うコンテストなんかもあったくらいだ。

WEBも見られることは見られたが、画面が小さかったり、上下左右キーで操作しなくてはいけなかったから、サクサクと見るというわけにはいかなかった。
iPhoneの仮想キーと指でタッチする操作方法は斬新だったが、当時の専門家達は日本ではiPhoneは流行らないといっていた。親指でキーを叩くことに慣れているから仮想キーは使いにくいとか、日本独自のサービスには対応しないから使い勝手が悪いとか、全部入りのケータイと比べると機能が劣るとか。
だが、結果は見てのとおり。

ユーザーは新しい使い方にすぐに慣れ、スマホの新しい使い方がどんどん普及した。
iPhoneが優れていたというのもあるが、人々がそれを手にしたとき、想定された以上の使い方がされるようになった。どう使うかをみんなが編み出していったようなものだ。

iPhoneの文字入力で、慣れていない人は「トントントン」と打つ文字が出てくるまでキーを叩いている。これは「トントン入力」と私はいっている。
フリック入力すれば、「い」を出すのに「あ」から左にサクッとずらせば一発で出てくる。早い人は、このフリック入力を巧みに使う。その入力の仕方で、iPhone利用歴がわかるというもの。

爪を伸ばしている女性でも、指先ではなく指の側面を使ってフリック入力している。iPhoneが流行らないといった人たちの中には、「爪を伸ばしている女性はタッチ入力ができない」などといっていたが、女性は使い方を編み出したのだ。
※フリック入力仕方はこちらのサイトが詳しい。

テーブル・タブレットが登場するとしたら、その使い方、使われ方も、手にした人たちが新たな使い方を編み出していくと思う。
そのためには、柔軟性のあるシステムを設計する必要はあるが。
案外、Appleがまたまたそれをやってしまうのかもしれない。

テーブル・タブレットの全画面を常に使う必要はない

84型のテーブル・タブレットがあったとして、その大画面を全部使う必要はない。
バーチャルエアーホッケーのようなゲームをするときには、全画面を使うかもしれないが、普段使いでは小さな画面でいい。4人掛けのテーブルの場合、座った人の前の部分的な画面、10インチとか20インチあればWEBを見たり電子ブックを見たりするのには十分だ。
4Kの精細さがあれば、こうした部分使いでも十分な解像度になる。

文章だけではわかりにくいので、図解してみた。

テーブル・タブレット上の使用する画面範囲を指定する

テーブル・タブレット上の使用する画面範囲を指定する


一例だが、座った人の前のテーブルに、おおまかな使用範囲を指でなぞると、自動的にデスクトップ画面を表示する。そこが作業画面になる。あるいは、プリセットもしくは前回の使用履歴を記憶しておいて、起動させるタッチアクションを決めておけばいいかもしれない。さらに進化させるなら、音声命令で「デスクトップ!」というと起動するとかね。

この部分デスクトップは、移動できるようにする。席を替わって、向かいの席に移動するときは、デスクトップの端を指で引っ張っていくとか。もちろん、向きも変えられるし、拡大縮小もできる。その程度のことは、現状のタブレットでもアイコンを移動させたり、画面の向きを変えたりで可能だから、その応用でできる。
手元で小さく表示していたものを、周りにいる人たちにも見せたいときには、ザクッと全画面表示させたら迫力があると思う。

座った姿勢でも見やすいように「疑似遠近法」を使う

テーブルのように、画面が水平に置いてあると、椅子に座った状態から見た場合、画面を斜めに見ることになる。
たしかに、これは疲れる。
だが、画面はデジタルであり変幻自在なのだ。
人がテーブルに置かれた本を見るように覆い被さって見るのではなく、画面の方を見やすいように変形させればいい。

なにもしない場合の見え方は以下のようになる。

テーブル・タブレット上の画面の見え方

テーブル・タブレット上の画面の見え方


座った姿勢でも、画面が正面に見えるようにするには「疑似遠近法」を使う。いわゆる錯視の応用だ。
斜め上から見下ろした場合、長方形は視点から奥手になる部分が狭まり、遠近法によって台形になる。
その奥手の方を広げて、視点から見た場合に見た目が正しい長方形になるようにする。そうすると平面の画面上に、擬似的に立体となって浮き上がっているように見える。これは錯視の基本だ。

この程度のことは、現在の技術でも可能。
テーブル・タブレットに複数個のカメラを仕込んでおけば、人物の位置や顔と視線の向き、そこから見える画面上の見え方は計算できる。それをタブレット側で、適切な角度に見えるように歪め方を変える。
ここでも4Kの解像度が生きる。4Kの解像度自体が立体感をともなうので、テーブルを斜めに見下ろしていても、変形表示されている部分画面そのものは正面に見えているように錯覚する。

疑似3D表示で、見た目が正面に見える表示方法

疑似3D表示で、見た目が正面に見える表示方法


これはいわば3D的な表示方法だ。3Dといっても、3Dテレビのように飛び出す3Dではなく、平面上で立体的に見える3Dだ。
3DCGアプリケーションを使っている人には馴染み感覚で、部分デスクトップや電子ブックをひとつのオブジェクトとして、平面画面上で3Dモデルのように傾ければいい。造作のないことだ。

ひとつのテーブル・タブレット上で、複数の人が使えるようにする

84型の大型画面の利点は、大画面の迫力だけではなく、広大な表示画面に部分デスクトップとして複数個のデスクトップを併存させて、複数の人で1台のテーブル・タブレットを使えることだろう。ひとりで複数個デスクトップを開いて、異なる作業を同時進行させるという方法もある。

1台のテーブル・タブレットを2人で使う

1台のテーブル・タブレットを2人で使う


テーブルには、わざと物を置いてある(笑)。
少々の物があっても、部分デスクトップを展開すれば、作業はできるという意味。

ポイントは、普段はテーブルとして使い、コンピュータが必要なときにテーブル・タブレットとして使えること。PCのための置き場所を特別に用意する必要がないし、家具としてのテーブル・タブレットなので邪魔にもならない。

全画面を使うときには、テーブルの上は片づけなければならないが、普通、食卓のテーブルは食事のとき以外は何も置いていないのではないだろうか? 常時物で埋まっているテーブルなんていうのは、不精者だろう(笑)。

複数ユーザーが同時に使うには、コンピュータとしての処理能力は高くなくてはいけないが、16コアのCPUを複数個装備して、処理能力を向上させることは難しくない。
問題はコストだが、製造能力は年々上がっているし、ムーアの法則はまだ通用するようなので数年後にはコストが低くて高速のCPUはできているだろう。
あとは、それをどう使うかというアイデアとソフトウエアだ。

使う人のデスクトップは、カメラで顔認識して該当する人のものを自動的に出す。最近の顔認識はかなり精度がよくなっていて、MACに付属する写真管理アプリのiPhotoは、同一人物の写真をほぼ間違うことなく抽出できる。
テーブル・タブレットは顔認識で、その人用のデスクトップとデータへのアクセス権を許可する。顔が「鍵」というわけだ。

ここに示したのは、アイデアの原型、スケッチ程度のこと。
実際問題としてはいろいろと突っ込みどころはある(笑)。それは技術的な問題をクリアしつつ、ブラッシュアップしていけばいい。それは作る人たちにやってもらうしかない。

私はイメージすることしかできない。
メーカーさん、アイデアのスケッチは出した。
近未来を作ってくれ。できれば、日本のメーカーがいいな(笑)。

(注)図解は、3DCGアプリケーションで制作したもの。これを作るのに時間がかかってしまった。

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