温泉マークの行方

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馴染みのある温泉マークを、外国人が見てもわかるように変えるという。
それについて、自称温泉マークの発祥地がクレームをつけているらしい。

温泉マーク変更、「発祥の地」が難色 「知名度下がる」:朝日新聞デジタル

 3本の湯気が立ちのぼる「温泉マーク」について、経済産業省が入浴者の姿を加えた記号に変更する方針を示したことについて、「日本最古の温泉記号発祥の地」を名乗る磯部温泉(群馬県安中市)が難色を示している。市長、市観光協会長、温泉組合長、旅館組合長の4者で、今週にも経産相あてに「マーク変更の場合、知名度やイメージの低下が懸念される」として、変更の見直しを求める要望書を提出する。

(中略)

創業85年の老舗ホテル「磯部ガーデン」の桜井太作社長(45)も「飲泉や蒸し風呂など、温泉の楽しみ方はほかにもある。意味を入浴だけに限ってしまっていいのか」と首をかしげる。

▼新しい温泉マーク

新しい温泉マーク

新しい温泉マーク

気に入らないなら、使わなければいいだけでは?
標準案内用図記号は公認の推奨であって強制ではない。要は、なんのサインであるがわかればいいので、好きなものを使っても罰せられるわけではない。

代表的な標準案内用図記号には以下のようなものがある。

図表1-33 標準案内用図記号の例

標準案内用図記号の例

標準案内用図記号の例

このような簡略化した図のサインは、ピクトグラムというが、なにをどのように表現するかは文化的な背景が大きく影響する。
温泉マークは、温泉の湯溜まりと湯気だけで表現しているが、「主語」がない。主語を曖昧にする日本語的な表現なのだ。だから、外国人はこのマークを温かい飲みものと誤解したりする。
新しい温泉マークは、そこに人物を入れることで「主語」を明確にしているわけだ。デザイン的な良し悪しは別にして、「人が入る温泉」と説明的になっている。

飲泉や蒸し風呂など、温泉の楽しみ方はほかにもある」……というが、従来の温泉マークから飲泉や蒸し風呂を連想することはないと思うのだが?
そういう使い方をしたいのであれば、「飲泉マーク」や「蒸し風呂マーク」を独自に作ればいいだけ。

というわけで、作ってみた。

▼飲泉マーク

飲泉マーク

飲泉マーク

※柄杓を入れたが、外国人には飲むための道具とはわかりにくいので、「DRINK」と英語表記を加えた。

▼蒸し風呂マーク

蒸し風呂マーク

蒸し風呂マーク

※蒸し風呂の構造はいろいろだろうけど、個人的にはこういうイメージということで。

なんだったら、これを自由に使ってくれてもかまわない。デザイン料はいらないよ(^_^)。
illustratorのEPSファイルを以下に用意した。
ダウンロード→「飲泉・蒸し風呂マークのEPSファイル

標準案内用図記号の中にあるトイレのマークは、男性と女性を区別しているわけだが、ジェンダーフリーが浸透しつつある現在では、「女性はスカート」というのは必ずしも適切とはいえないようにも思う。女装ではなくスカートを着る男性はいるし、スカートなんて着ないという女性もいるだろう。

▼トイレットマーク

トイレットマーク

トイレットマーク

これは一例だが、細かいことを言い出すと、ピクトグラムだけでなく説明文まで加えなくてはいけなくなるので、図で表現することの意味が薄れてしまう。
ちなみに、トイレマークはそのマークが設置された時期の関係もあるが、けっこうバラバラ。比較的最近設置されたものは、標準案内用図記号になっているが、古いものや独自のマークを掲げているところもある。ただ、基本として女性はスカート姿にはなっている。

磯部温泉の温泉関係者は、従来通りの温泉マークを使い続ければいいと思うよ。
それで困らないのであれば、公認マークがどうとか、気にしなければいい。
そこはポリシーの問題ではないかな?

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